哲学
【内容紹介】
ここに鮮やかで初々しいハンナ・アーレント論が誕生した。26歳の著者は、アーレントの主著のひとつ『活動的生』(『人間の条件』ドイツ語版)読解を通して、そこに通底する「世界への愛」に向けたアーレントの思いや意味に接近し、「労働」「制作」「行為」「始まり」「出生」などのキーワードともども、アーレントの著作全体に連なる核心に近づいていく。膨大な注の書きぶりも併せ、ユニークで開かれた書。
【目次】
序章:世界と子どもへの讃歌としての『活動的生』--二つの詩歌をめぐって
第一部:世界にたいしてなぜ信頼と希望を抱くことができるのか--物の持続性と人間の出生性
第一章:活動的生とは何か--活動的生の世界維持形成機能
第二章:世界とは何か--「物」による世界の存続と「行為」による世界の新生
まとめ--世界に信頼と希望を抱かせる物の持続性と人間の出生性
第二部:世界への信頼と希望はいかにして破壊されてきたのか--資本主義と全体主義
第一章:資本主義による物の持続性の破壊--制作‐使用対象物から労働‐消費財へ
第二章:全体主義による人間の出生性の破壊--複数性と自発性の根絶
まとめ--世界への信頼と希望を破壊した資本主義と全体主義
第三部:世界への信頼と希望をふたたび取り戻すには何をなすべきか--世界への気遣いと子どもへの気遣い
第一章:世界への気遣いとしての活動的生--世界への信頼と希望のために(1)
第二章:子どもへの気遣いとしての教育--世界への信頼と希望のために(2)
まとめ--世界に信頼と希望を抱くことを可能にする世界と子どもへの気遣い
終章:この世界を故郷とするために--『活動的生』が伝えるひとつのメッセージ
注
あとがき
参考文献
索引