日本文学
【内容紹介】
探偵作家・渡辺啓助が昭和20年代・30年代に執筆された、著者としては初の子供向け作品集。
探偵小説のみではなく、冒険小説・怪奇小説・SFなど、渡辺啓助の多彩さも味わえる一冊。
【目次】
・探偵小説 幽霊一家
・冒険小説 黒聖母島の秘密
・怪奇探偵 黒い獣
・氷河の囚人
・怪奇探偵小説 人喰魚
・怪奇探偵小説 シンデレラの片足
・読切推理小説 失われた黒ねこ
・姿なき訪問者
・第三の容疑者 熱帯魚殺人事件
・夜歩く銀仮面
・空想科学小説 かえる男時代
・地中海であった話 海底の魔女
・『黒い獣』解説(日下三蔵)
【著者略歴】
1901(明34)年、秋田県秋田市生まれ。
本名・圭介。<<新青年>>編集部に所属していた推理作家の渡辺温は実弟、画家の渡辺東は娘。
九州帝国大学在学中に、渡辺温と共に江戸川乱歩名義でエドガー・アラン・ポーの短篇を翻訳。『ポー・ホフマン集』に掲載。
29年、<<新青年>>の映画俳優小説という企画として、「偽眼のマドンナ」を執筆。同誌に当時の人気俳優・岡田時彦名義で発表されたこの作品が、ゴーストライターではあるが、渡辺啓助のデビュー作となる。
35年に第一作品集『地獄横丁』が刊行。
42年、大日本帝国陸軍報道部の嘱託により大陸に派遣。この際の見聞を元にして執筆された作品は3期連続で直木賞候補となる。
戦後は疎開先である群馬県渋川町に落ち着き、多数の短編を執筆。
54年に帰京。57年には今日泊亜蘭、矢野徹らとSF同人「おめがクラブ」を設立。
60年に木々高太郎に代わって日本探偵作家クラブ4代目会長に就任。
2001年に100歳を記念したアンソロジー『ネメクモア』(東京創元社)が刊行。
2002年1月19日に肺炎により永眠。享年101。