日本文学
【内相紹介】
◆名もなき男の生涯
齢百歳に垂んとして、ある名もなき男の生涯を一編の句集に託した。
長い間、他人とは思えぬ真心でお付き合いいただいている多くの友人や老いのわが身に全身全霊で尽くしてくれている子どもたちへの感謝と戦なき平和な世への希求をこめた。
(著者)
◆自選十句
戦なき世を継げ令和初明り
美少年屠蘇から覚めて八十路かな
春潮の満ちて男子の生れけり
侮りし無為といふ日のあたたかし
馬道や猿若町や古地図紙魚
パナマ帽わが人生の花のころ
葡萄喰むプラトンの知を吸ふごと
特攻の死出の旅路を鶴渡る
絵のごとき枯蟷螂の命かな
十二月八日もののふ生きて老ゆ
【著者略歴】
大正15年 東京深川生まれ。
東京高等師範学校・東京文理科大学卒業。東
京都立高等学校教諭、東京都世田谷区教育委員会・東京都教育庁指導主事、東京都渋谷区教育委員会指導室長、東京都立教育研究所学校経営研究部長、東京都立高等学校長を歴任。
退職後、東邦音楽大学教授、NHK学園漢詩・俳句講師など。